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日別アーカイブ: 2022年7月18日

お知らせ 2022年7月18日 更新

新型コロナ雑感

新型コロナについての情報提供が滞っていて申し訳ありません。それは小生にとっても色々なことを判断するには情報が不十分であること、かつもどかしい医療行政や企業努力不足から、小生の想定通りに進んでいないことによります。

 

現在の情報を整理しますと、

1.新型コロナは変異を繰り返しながら、今後も絶滅することはなく、流行が続くであろう。

2.新型コロナは多くの方にとっては、毎冬に繰り返す感冒よりも軽い疾患にも関わらず、一部の方において重症化し、死に至る疾患である。

3.死亡率を規定している一番の要因は年齢で、亡くなる方はほぼ60歳以上で、特に70歳以上が80−90%を占めるが、若年者の重症者もあり、命が助かっても重い後遺症を残し、小児も若干数ながら死亡者があり、脳炎など、重篤な後遺症を残す子もいる。

4.現状のように感染すると、長期休職、長期休学休園による自宅療養を強いられ、それを恐れて、学校閉鎖、休店、休館を繰り返していると、経済が低迷し、社会が衰退し、子供や学生の教育や発育に深刻な被害をもたらす。

5.ワクチンは有効な予防手段だが、種々の制約や問題がある。

6.治療薬は適応(投与対象患者)が限定的で、普及していない。

という状況です。

 

3.はすでにお知らせしてきた通りで、現在においてもほぼ同じ状況です。

昨年夏の第5波はデルタ株が主流で、それまでより感染性が強くなり、かつ毒性が強く、重症、死亡が著しく増えてしまいました。

今年になりオミクロン株に置き換わりました。オミクロン株は毒性がかなり弱まりましたが、感染性、伝染性がとても強まり、感染者数が著しく増加したために、死亡率が低下しても、分母が増えたので死亡者数が増えてしまいました。

ワクチンが変異株に対して感染防御力がほとんどなくなるほどに低下しましたが、重症化予防効果は残っていたので、このような状況になったという要素もあります。

 

4.小生は現在のような社会情勢は何が何でも脱却すべきであると考えています。

ウイズコロナ(with Corona virus)という言葉がありますが、コロナウイルスと共存する社会という意味です。すなわちコロナはいくら流行しても良い、医学によって、誰も死なない、誰も重症化しない、という状況を作ろうということで、大賛成です。と言うか、コロナが絶滅しない以上、それしか選択肢がありません。

 

目指す社会は、活動自粛により流行を抑えるのでなく、流行しても平気である社会です。

 

5.ワクチンが決定的な切り札になるであろうと期待されました。世界中で死亡者数が激減しましたので、大変大きな効果が得られたと思いますが、流行しても平気である社会は得られていません。

ワクチンの何が問題なのでしょうか?

伝統的手法で作られた不活化ワクチン(インフルエンザワクチンなど)は、長年の使用経験から、副反応は見られるが、種類や頻度、重篤度はすでにわかっており、かなり安全性は高いです。

一方、日本で最も用いられてきたRNAワクチン(ファイザー、モデルナ)はごく最近に開発されたワクチンで、その効果は感染予防効果、発症予防効果、重症化予防効果、死亡率低減効果のいずれも不活化ワクチンよりもかなり強力で、画期的なワクチンでした。

しかし全くの新薬であり、安全性評価はかなり不足していました。米国FDAもとりあえずの数ヶ月の臨床試験結果での安全性を評価したのみで、大流行も多分考慮されて、緊急承認とされて、使われ始めたと言うものでした。(現在は承認されています)

接種後の発熱、倦怠感に対する不満や抗議が沸き起こりましたが、命を守るための注射ですので、一過性であれば受け入れてもらうしかありません。

しかしその後の多数例の使用経験、長期間の観察から、若くて健康だった方の突然死に至る重篤な副反応が報告されるようになりました。見方によりますが、大変危険なワクチンと言って良いでしょう。

60歳未満の方は、元々新型コロナによる重症化、死亡は極めて少ないです。70歳台の1000分の1以下で、そのほとんどは基礎疾患を有する方です。その方々に、さして安全と言えないワクチンを接種するのは憚られるのが普通です。

当院では60歳未満の方は、原則、基礎疾患があり重症化リスクの高い方、社会的に接種が必要で、危険性を納得した上で希望される方にしか接種しませんし、迷っておられて相談された方にはお勧めできないと説明しております。ましてや未成年や小児の方(の相談に来た親御さん)にはやめておいた方が良いと説明しています。

この強力なワクチンにより死を免れることができる、決定的なメリット受けられる方々がおられます。70歳以上の方が相当します。

RNAワクチンの重症化予防効果は色々な報告がありますが、2回接種した方では概ね一年以上持続するようです。

しかし高齢者では、接種で得られる免疫力がそれほど高くないこと、免疫力の減弱が早いことから、それほどの長期持続は期待できません。60歳以上、特に70歳以上の方は、重症化予防効果を維持するためには3−6ヶ月程度での追加接種が必要になります。

けれども、「流行しても平気である社会」ではコロナは流行が野放しになりますので、60歳未満の方々も、ごく少数ですが、重症化リスクがありますので、安心できません。

 

小生はその様な方々に適した、ワクチンや治療薬の登場を心待ちにしております。その様な方々は重症化リスクは低く、ましてや死亡リスクは皆無に等しいわけですから、RNAワクチンのような強力なワクチンである必要はありません。感染予防効果はほとんどなくてかまいません、重症化予防効果はある程度あれば、高くなくても良いです、しかし高い安全性は欠かせません。

 

6.罹患したら服用し、重症化や死に至るようなことを防ぐことができる治療薬があれば、それで十分かもしれません。

現在使われている薬剤は、点滴治療薬が多く、それらは大量生産できない薬剤なので薬剤供給も限られ、対象が重症患者さんに限られます。また極めて高額で、一回の点滴が50万円ほどになります。公費負担なので、本人の負担はゼロですが、結局血税から支払われます。この点からも本当に使ってあげないといけない患者さんかどうかを慎重に判断すべきです。ということは、心配だからというだけで、広く使うことはできないということになります。

経口薬もありますが、輸入薬なので、これも輸入量が少なく、登録された限られた医療施設で、限られた症例に処方されるのみです。

現在国内某社の経口治療薬の承認に向けた審議が行われています。社会状況を鑑みて迅速審査体制がとられていますが、有効性が十分に評価できないとして、なかなか認可に至らず、一方ボツにするのもおしいので継続審議が続けられてきているという、何か情けない状況です。ちなみに今週も審議会が開かれます。

新薬の承認は、承認された後、重篤な副作用が出たり、薬剤が結局なんの効果もなかった場合を考えますと、審議委員の責任は大変に重く、慎重な判断が求められるのは言うまでもありません。

しかし有効性の評価が、発熱期間の短縮、感冒用症状軽快までの期間の短縮などで行われるのであれば、本薬剤に期待されている効果とは別物であると感じます。

ただ死亡率を低減させるとの評価をすることは大変に困難です。薬剤を投与した群と、しなかった群で死亡率が異なることを証明するわけですので、投与しないと亡くなられる方を観察しないといけないわけで、動物実験ではないので、倫理的問題があります。

少なくとも実験室レベルでは、ウイルス量の激減が証明されていますので、期待しているのですが。

さらに概して抗ウイルス薬には細胞増殖を抑えるわけですので、胎児への影響や生殖器官への影響が出やすいという一般的傾向がありますので、よほど安全性評価がしっかりできていないと若い方、子供たちに広くには使いにくいということがおきえます。

中高年限定になるかもしれません。

 

やはり安全性の高いワクチンへの期待が大きいです。

 

ノババックス社(米国)が開発し、国内では武田製薬が製造する組換え蛋白ワクチンが、この4月に承認されました。

組換え蛋白ワクチンは比較的新しい製造技術で作られたワクチンですが、新しいと言ってももう20年以上の使用経験があります。帯状疱疹ワクチン(シングリックス)、B型肝炎ワクチン(ビームゲン、ヘプタバックス)などが既にもちいられていて、不活化ワクチンより強力で持続力もあります。

武田ノババックスワクチンは発病予防効果がRNAワクチンと同等にあるとの臨床試験が報告されていますが、そんなに強くなくてもいいから、高い安全性をお願いします、という気持ちです。

と言うのは組換え蛋白ワクチンでは、効果を増強するためにアジュバントと言う物質を加えねばならず、高い効果を狙うと、アジュバントを頑張らないといけなくなり、その場合に安全性を担保できるかどうかが心配です。

組換え蛋白ワクチンはシオノギ製薬も開発していて、現在臨床試験中ですが、臨床試験がうまく進まないのか、秋に申請し、年内一杯に承認されるかどうかとのことです。

小生期待のワクチンだったのですが、武田ノババックスワクチンは、流通量が少なく、大阪府ではたった4ヶ所の契約している医療施設と接種センターで受けることができるのみです。

組換え蛋白ワクチンは既存の製造工程で作ることができ、RNAワクチンよりも大量生産できるワクチンです。であるのになぜそのような対応なのかよくわかりません。厚労省が消極的なのか、メーカーに事情があるのか、それとも他に・・・。

国内メーカーから不活化ワクチンも登場する計画もあります。十分な安全性があれば、それも選択肢かなと感じております。

 

第6波はオミクロン株(BA1)が流行の中心でした。現在新しい流行(第7波)が起きてきており、その主体はオミクロン株(BA5)とされています。

第7波の原因は、気持ちの緩み、外国人観光客の受け入れ、ワクチン効果の減弱などと分析されていますが、一部に過ぎません。それを正しても流行は抑えられません。

昨年も一昨年も7月を中心に流行しました。何かこの時期に流行する訳があるのです。聞けるものならコロナに聞きたいところです。

ただBA5変異株が、感染力が大変に高い株であることは、流行の大きな理由ではあると思います。

では従来のワクチンの効果や、第6波でオミクロン(BA1)にかかった方(全国に800万人ほどおられます)はどうなるのでしょうか。

大阪大学の忽那先生が、海外データを元に解説されています。ご参照ください。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20220717-00305856

第6波でオミクロン(BA1)にかかった方はBA5に対して一定の感染抵抗力がある様です。

しかしさらにワクチン接種で高まる様です。

この点でもやはり安全性の高いワクチンへの期待が大きいです。

製薬メーカーさん、うまく厚労省を説得できる様に頑張ってください。

賄賂でインチキしろと言っているのでありません。

どの様な効果を証明すれば良いのか、安全性を担保するのかを頑張ってほしいのです。

 

 

 

 

お知らせ 2022年7月18日 更新

新型コロナワクチン接種予定

新型コロナワクチン接種の予定を再度お知らせいたします。

今回は日曜日の午前、午後に接種しておりますが、7月24日、31日、8月7日に接種しましたら、8月14日はお休みいたします。

その後の予定は未定で、曜日や時間帯が異なるようになる見通しです。

決定しましたら、追ってお知らせいたします。

以上は60歳以上、あるいは基礎疾患を有する方の4回目接種、それ以外の方の3回目接種が対象です。

今回用意しておりますワクチンはファイザー社製RNAワクチン(コミナティー)になります。

RNAワクチンの安全性について十分な担保がないことは従前にお知らせした通りです。

それを考慮した上でなお、70歳以上の方は罹患時の死亡率が高く、RNAワクチンにより明確な低減効果が得られることがわかっていることから、接種を強く推奨できます。早く申し込んで受けてください。

年齢別死亡率、デルタ株流行期とオミクロン株流行期の相違などが、埼玉県のホームページによくまとめられているので、ご参照ください。

https://www.pref.saitama.lg.jp/b0714/surveillance/covid-19.html

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